魔女集会での重要な行事である悪魔礼拝。この有様を百科全書的『魔女提要』は、こう描写している。 【会衆が集合すると、彼らはまず灯りをともす。魔王がこの集会の座長で、山羊、犬などの姿で王座に着席している。魔女達は、この魔王に近づいて礼拝し、黒いローソク、嬰児のへその緒などを舞おうに捧げた上で、忠誠を誓う印として、魔王の臀部に接吻する】 礼拝が終わると、新参者の入門式。悪魔と提携する『契約』が行われるのはこのときである。 悪魔との契約がどんなものであったのかを示す契約書が少数現存している。
この契約書は、フランスの神父ユルバン・クランディエの『忠誠の誓い』と『悪魔の認可』との2部から成っている。ともに略綴りのラテン語だが、後者はダ・ヴィンチの『雑記帳』のそれのように右書き、いわゆる「鏡文字」で書かれている。
悪魔の認可書 われらの全能のルキフェル(魔王)はサタナス、ベールゼブブ、レヴィアタン、エリミ、アスタロト、および、その他を介添えとして、本日、われらに組するウルバニ・グランデリとの盟約を認証した。われわれは、彼に、愛する女、花の処女、純潔な尼僧、世俗の名誉、悦楽、および富を与えることを約束する。彼は三日毎に姦淫を行わなければならぬ。その興奮は彼にとって貴重なものとなろう。彼は一年に一回、彼の血のしるしのある貢物をわれわれに献げるべきこと、また教会の聖餐を足下に踏みにじり、われわれに祈りを捧げることを約束する。この契約によって彼は二十年間、地上の人間の間にあって幸福に生き、やがてはわれわれの間に来たって髪を呪うであろう。地獄の悪魔会議にて、右契約する。 (署名)サタナス、ベールゼブブ、ルキフェル、エリミ、レヴィアタン、アスタロト。 魔王ならびに、地獄の諸王の署名と押印を認証する。
忠誠の誓い わが神にして主なるルキフェル。私はあなたを私の神、および王として認め、私が生きている限りあなたに仕え、従うことを約束する。また私は、イエス・キリストのみならず、あなた以外の神を否定し、あらゆる聖徒、あらゆる使徒、ローマ教会、あらゆる聖餐を否定する。また。キリスト教徒が私のために行うあらゆる祈りと願いとを拒否する。私はできる限り多くの悪をなし、すべての人間を悪に引き寄せることを、あなたに約束する。私は堅信礼、洗礼、その他、イエス・キリストとその聖徒のあらゆる功徳を否定する。もし私があなたに仕え、あなたをあがめることを怠り、、あた毎日三回、臣従の礼をあなたに捧げることを怠るならば、私は私の生命をあなたのものとして捧げることを、この年、この日に誓う。 地獄より引き出された ウルバニ・グランデリ
魔女の署名は、本人の血でなされるのが普通であった。字の書けない者は、十字(+)か丸(○)を描いたという。キリスト教的信仰の全面的拒否。心身ともに悪魔に捧げ、悪魔を神として臣従。その代償として魔力享受、あらゆる現実的欲望の充足。−−これが悪魔との契約の基本的条件であった。
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